俳句の作り方 春三日月の俳句

 巻貝のおくのわたくし春三日月  伊庭直子いばなおこ

まきがいの おくのわたくし はるみかづき

春三日月が春の季語。

 

 

 この句は2021年5月号の『河』に掲載され

それが添削された俳句です。

添削指導者は心斎橋大学の講師、久保純夫先生です。

『河』に掲載された句は

春三日月巻貝のおくにわたしゐる  でした。

「ゐる」が削られて中八がすっきりと中七に収まりました。

巻貝のおくのわたくし春三日月

 原句は

春満月巻き貝のおくに横座り  でした。

推敲して

春三日月巻貝のおくにわたしゐる  となります。

この句が添削されると

巻貝のおくのわたくし春三日月  となります。

 

 

 春三日月巻貝のおくにわたしゐる(『河』掲載)

『河』の副主宰の鎌田俊氏の批評が載っていました。

引用します。

「春三日月から海洋へ連想を広げ、巻貝の中に自分の詩心があるのだという。

巻貝は人間の聴覚器官の形状を思わせる。

きっと『巻貝のおく』は作者の心に通じて、

外界の声をダイレクトに響かせているのだろう。」

 ここで述べられた「外界の声」は海のさざ波の音です。

長い間、海に行ってないのでことさら海の声がなつかしい。

春三日月の浮かぶ海の巻貝の奥にいれば、きっと優しく聞こえるはず。

そんな気持ちを表現しました。

春三日月巻貝のおくにわたしゐる

巻貝のおくのわたくし春三日月

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